
ひとりビジネスに福利厚生費はありえない!~自分のために使う費用は経費になりません~
従業員やアルバイトなどを雇わないで事業主一人で仕事をする「ひとりビジネス」というスタイル。
起業して仕事を始める方の中には、敢えてスタッフを雇わないでビジネスをする方も増えてきました。
このような「ひとりビジネス」をしている方の確定申告などのサポートをしているとき、「福利厚生費」という経費を使っている人をチラホラみかけます。
そもそも、一人しかいないビジネスや会社において「福利厚生費」という経費を使うことが出来るのでしょうか?
福利厚生費とは従業員のために使う経費のコト
そもそも「福利厚生費」とはどういった費用なのでしょうか?
【福利厚生費】
会社(事業主)が、従業員の生活の向上と労働環境の改善のために支出する給料以外の費用のコト。
すべての従業員に公平であって、一般的に妥当と思われる金額までの部分が福利厚生費となる。
要は給料として払うもの以外に、従業員のために使われる費用というのが福利厚生費なんです。
福利厚生費のポイントとなるのは次の3つ
① 給料以外の費用であるコト
「お給料は福利厚生費ではない」なんて当たり前のことを言っているかもしれませんが、実は意外に間違っていたりするポイント。
基本的に「従業員に金銭で支給するもの」というのはお給料となり、もらう側の従業員にとっては所得税の対象となるのです。
入院したときなどのお見舞いや結婚したときのお祝いなどは、一般的な金額であれば福利厚生費として所得税の対象になりません。
ただ、あまりにも高い金額になると給料として所得税の対象となってしまうんです。
給料と福利厚生費の違いというのは結構重要なポイントなんですよ。
② 全ての従業員が同じ内容の利益を受けるコト
福利厚生費の2つ目のポイントは「全ての従業員が同じ利益を受ける」という点です。
例えば、特定の従業員のみを対象とした社員旅行や人間ドックについては、福利厚生費ではなくて給料となります。
③ 高すぎない費用であるコト
いくら従業員のためと言っても、お金が高すぎるのはNG。
高額な忘年会の費用や1週間以上の海外旅行など、「ちょっと世間の常識からかけ離れている」ような費用は、福利厚生費ではなく給料です。
① お給料ではない
② すべての従業員が平等
③ お金をかけ過ぎない
この3つのポイントを満たしていれば、福利厚生費として経費にできるんです。
従業員がいないひとりビジネスに福利厚生費はありえない!
では「ひとりビジネス」の場合に福利厚生費というものが存在するんでしょうか?
結論から言えば「ひとりビジネスには福利厚生費はありえない」ということになります。
そもそも福利厚生費という費用は「従業員のための費用」です。
ですから、従業員が存在しないひとりビジネスにおいては、福利厚生費という概念自体が存在しないのです。
これは会社であっても個人事業主であっても同じこと。
雇用主・会社 → (費用) → 従業員(役員は従業員ではない)
という方程式が成り立たないので、福利厚生費は存在しません。
▼ 事務所やオフィスで飲むお茶代
▼ 夜遅くまで残った時の残業食事代
▼ 一人ぼっちの社員旅行
こういった支払は、費用ではなく個人的な支出として取り扱われるんですね。
個人事業主であったら店主貸(事業主貸)、会社であったら社長に対するお給料として扱われてしまうんですよ。
自分のために使うお金は経費ではないので注意!
結局、何が言いたいのかというと「自分のために使う費用」というのはビジネスの経費にならないというコトです。
▼ 仕事のために使う費用・・・仕事の経費として処理OK
▼ 自分のために使う費用・・・仕事の経費として処理NG
当たり前のように思うかもしれませんが勘違いしている方が多いのも事実。
ジブンが飲むお茶代は費用になりませんし、スポーツジムの会費もNG。
ひとりで行う忘年会や気分転換のための旅行もダメです。
健康チェックのための健康診断も仕事の費用にはなりません。
「カラダが資本だから健康維持も仕事の一つだよ!」
「気分転換したほうが仕事の効率が上がる!」
というご意見もあろうかと思います。
えー、ワタシもそう思いますとも!
ただ、たぁだですよ・・・、そんなこと言いだしててしまうと何でもかんでも経費になってしまうわけですよ。
ですので、自分のために使う費用=経費ではない というルールが厳密に決められているんですね。
▼ スタッフがいるオフィスで飲むお茶 ← スタッフのための費用 ← 福利厚生費OK
▼ ひとりビジネスのオフィスで飲むお茶 ← 自分のための費用 ← 福利厚生費NG
というカタチになってしまうというのが難しいところですね…。
まぁ、考え方を変えれば違う見方もできるかも・・・ということだけはお伝えしておきます。
まとめ
ひとりでビジネスをしている人と多くのスタッフを抱えているビジネスでは、「経費にする・しない」という線引きも微妙に変わってきます。
特に福利厚生費や交際費は「プライベートな費用」が混じってしまいやすい費用です。
チェックの対象とされやすい項目ですので、キチンと区別しておくようにしましょう。