
なぜ夫や妻のことを「配偶者」と呼ぶの?~知っているようで知らないコト~
年末調整や確定申告の書類を書く際、奥様やご主人の名前は「配偶者」という欄に名前を書くようになっています。
税理士と言う仕事をしていると、何も意識せずに配偶者と言う単語を使ってしまいます。
ただ、そもそも配偶者ってどういう意味があって使っているのかなんて考えたことがありませんでした。
今回はこの「配偶者」という言葉の意味を考えてみましょう。
配偶者とは法律上の関係が前提!
配偶者と言う単語を調べると下記のようになっています。
配偶者(はいぐうしゃ)は、婚姻の相手方をいう。
居住を共にし、場合によっては間に子供を持ち、それを養育しながら家庭生活を営む。
男性配偶者を夫(おっと)、女性配偶者を妻(つま)という。
なお、「配偶者」は法律用語であり、事実婚で婚姻していない場合には「配偶者」とはよばない。
(ウィキペディアより)
まあ、簡単に言えば配偶者とは「夫もしくは妻」ということです。
ただここにも書いてある通り、配偶者とは法律用語です。
婚姻して戸籍に入っているというコトが前提となります。
同居しているが籍を入れていない人を「内縁の妻」と言ったりしますが、「内縁の配偶者」などとは言いません。
ですから、所得税や相続税などで配偶者控除を受ける場合には、内縁ではダメ、籍が入っている人しか受けられないということになるのです。
「配偶」という意味は?
配偶者という言葉の意味は分かったかもしれませんが、そもそも「配偶」ってどういう意味があるのでしょう。
その単語の成りたちを考えてみます。
「配」という漢字は「添いあう」という意味
配偶者の「配」という漢字には、「添いあわせる、組み合わせる」という意味があります。
例えば、配合、配列、配色といったように、バランスを取って組み合わせるというような言葉に使われますよね。
「偶」という漢字は「カップル」という意味
配偶者の「偶」という漢字には、「二つ並んだ」という意味があります。
2つで対をなすカップルやペアのような意味合いです。
2で割り切れる整数を偶数と言いますが、このように2つでセットになるようなモノを表す時に使われる漢字です。
遺跡などで発掘される土偶(どぐう)にも偶という漢字が使われていますが、もともと土偶は2つでセットで使われていたんですって。
だから土でできたペアの人形を「土偶」と呼ぶようになったんだそうです。
つまり「配偶」とは「添いあったカップル」というコト
ですので、配偶という言葉は「添いあったカップル」ということを意味するというコトです。
結婚して一緒になった片割れのことを配偶者と呼ぶのですね。
法律というものは「出来るだけ例外を排除して作る」という前提があります。
夫もしくは妻という表現をしてしまうと、どうしても性別によっての例外が出てしまう可能性があります。
「婚姻関係がある相手方」のことを法律的に明文化するため「配偶者」というキーワードが必要だったのですね。
まとめ
我々はいちおう法律の専門家なので、単語の使い方には気を付けるようにしています。
例えば、社会保険の扶養の条件で「内縁の配偶者」という表現をする社会保険労務士がいたりしますが、この表現はちょっとオカシイのですよ。
ただ、だからと言って気にしすぎることも良くないかと思います。
話を聞いている人に対して、分かりやすいカタチで誤解の内容に説明をしてあげることが大事ですね。
そういう意味では配偶者という表現はちょっとオカタイ。(-_-;)
「嫁さん、だんな」の方が分かりやすいのであれば、そっちで説明してあげるようにしています♪