
マイナンバーで消費税還付?~お財布は個人情報の宝石箱や~
ここ何日かの間、新聞やニュースなど「新しい消費税の還付制度」について取り上げられています。
再来年の4月から消費税が8%から10%に増税される予定ですが、それに合わせて生活必需品である食料品に軽減税率を適用するという趣旨の内容です。
この消費税の軽減措置に、10月から交付がスタートするマイナンバーを活用しようという内容。
はたしてその方法は可能なのでしょうか。
また可能であったとしても本当に効果があるのでしょうか。
よくあるポイントカードと同じ仕組み
具体的に発表になっている新しい軽減方式は下記のようなものです。
政府は消費税率を2017年4月に10%に引き上げるのに合わせて一部の商品の税率を低く抑える軽減税率の骨格をまとめた。
軽減税率の対象としては「精米」「生鮮食品」「酒を除く全ての飲食料品」の3案があったが、対象範囲が最も広い3つ目の案とする。
個人の所得に応じて税額軽減を受けられる限度も定める。
消費者が来月始まる税と社会保障の共通番号(マイナンバー)の仕組みを使って買い物し、軽減分を所得税から後日還付してもらう仕組みも特徴だ。来週にも与党が再開する協議の場で財務省が政府案の骨格を示す。
年末の与党税制改正大綱に向け税率軽減幅などを詰め、来年の通常国会への関連法案の提出を目指す。
(2015年9月5日:日本経済新聞より)
具体的に言うと
① 対象となる食料品の購入時に、消費税10%相当を含んだ購入代金を支払う
② 購入するお店に備え付けられているカードリーダーなどにマイナンバーカードをかざしてポイントを付与してもらう
③ ポイントが一定額になってからPCやスマホで申請すると銀行口座に還付金相当が振り込まれる
という仕組みになりそうです。
自分がこの話を聞いた時に一番ピンときたのは、セブンイレブンやヨーカドーなどで使われている電子マネーの「nanaco」みたいな感じだなと思いました。
セブンイレブンでnanacoを使って買い物をすると、購入金額の何%かがnanacoポイントとしてカードや端末に貯まります。
スマホで交換申請すると、貯まったポイントがnanacoの電子マネーにチャージされます。
これで次回のお買い物時に電子マネーとして利用できるわけです。
nanacoで買い物をすると、レシートに今回付与されたポイントと累計ポイントが記載されるので、自分がどれくらいポイントを持っているのか確認できます。
財務省が考えているのも、こういった仕組みを利用すると言うことなんでしょうね。
ちなみに還付金の上限金額は4,000円程度。
逆算すると年間20万円程度の食料品代に該当することになります。
やれって言われればやりますけど・・・
この方法が可能かどうかと聞かれれば、物理的には「可能」だと思います。
食品を扱うお店はすべてカードリーダー対応のレジなどの端末を備え付けます。
(レジが無いお店はお金を出して対応端末を買えばいいし、その補助に政府も何百億円も出せばいいだけです)
食料品を購入する人は、マイナンバーカードを持ち歩きます。
(個人情報のマイナンバーを不特定多数のお店で提示して情報の漏えいリスクがあっても我慢すればいいだけですし、カードを忘れたら還付を諦めればいいだけです)
マイナンバーカードをお財布の中に入れて持ち歩きます。
もし、お財布の中に
▼クレジットカード
▼運転免許証
▼銀行のキャッシュカード
▼健康保険証
なんか一緒に入れていたら、もう「私の個人情報を好きにしてっ!」って感じでしょうね。
それこそ彦摩呂さんがいたら「個人情報の宝石箱や~(´▽`*)」っていうかも?
消費税の還付にはPCなどの端末を使います。
(いちいちアクセスして銀行口座を登録すればいいわけですし、振込手数料相当も何億円も国が負担してくれます。PC使えなければ役所の窓口まで出かけて行って紙で申請すればいいだけです。)
可能ですよ。物理的には。
ただ、この制度を使うために必要なコストを考えると「・・・(・_・;)」じゃないですかね。
手段を選挙公約にするからおかしくなる
与党内のある政党の選挙公約に「消費税の軽減税率」をあげているので政府も対応しないといけないのでしょう。
ただ、それを実現するためにおかしな方向にいっていませんか?
本来の目的は「生活のための経済的な負担軽減」であって、「消費税の軽減税率」というのはそのための単なる一手段にしか過ぎません。
手段が目的になってしまっているということを問題視して欲しいですね。