
災害にあってしまった場合に税制でもバックアップ~雑損控除~
先日から続いている大雨被害のニュースを聞くたびに心が痛みます。
栃木や宮城で被害に遭われた方が、一刻も早く安心した生活を送れることを祈っています。
木曜日には小田原でも河川氾濫の危険が高くなったため、避難勧告が出た地域がありました。
このような自然災害はいつどこで起こるか分かりません。
特に最近は異常気象であったり、火山の噴火や人災による事故なども頻発しています。
普段から色々なことを想定して準備しておかなければなりません。
ただ、いくら準備をしていたとしても被害に遭ってしまうこともあるでしょう。
そのような時は税制面においてもバックアップしてくれる制度があります。
その代表例が所得税の「雑損控除」と呼ばれるものです。
いざと言う時のため、そのような制度があるということも覚えておいてください。
受けてしまった被害に比べれば微々たるものかもしれませんが、少しでも復興に役立てば・・・
雑損控除とは
雑損控除とは、自然災害や盗難・横領などといった犯罪行為に遭って財産に被害を受けた場合、所定の計算方法に従って税金の控除を受けることが出来る制度です。
雑損控除の対象になる財産は
① 被害を受けた財産が、本人若しくは養っている家族のものであること
② 生活していくうえで必要な財産(住宅、家具、衣類など)であること
等の要件を満たすものです。
事業用の試算や高価な美術品などは対象外です。
どういった場合に控除できるのか
次のような災害で受けた被害が対象となります。
① 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
② 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
③ 害虫などの生物による異常な災害
④ 盗難
⑤ 横領
ただ、犯罪に巻き込まれてしまったとしても詐欺や恐喝の等の場合は対象となりません。
「騙された方も悪い」というのはちょっと語弊があるかもしれませんが、被害者の方にも一定の落ち度(瑕疵)があるからという理由があるようです。
どの程度控除できるのか
雑損控除として控除できるのは、次のいずれか多い方の金額です。
① (差引損失額)-(総所得金額等)×10%
② (差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円
ちなみに「差引損失額」とは、損害を受けた金額や解体費用、片づけ費用など実際に後始末に係った金額の合計額から、損害保険会社などから支払われた保険金を先引いた金額をいいます。
資産が受けた損害金額の計算はちょっと面倒くさいのですが、簡単に言えば「その財産の被害を受けたときの時価に対する被害金額」だと思ってください。
控除を受けるための手続
雑損控除を受けるためには確定申告が必要です。
確定申告書の雑損控除の欄に必要事項を記入して、
①被害を受けた財産に関する計算書
②片づけなど実際にかかった費用に関する領収書など
③支払われた保険金の内容がわかるもの
などを添付して、確定申告を行ってください。
また、被害に遭って確定申告を期限内に行うことが出来ない場合などについては、一定の猶予制度もありますので詳しくは専門家にご相談ください。