
税理士の懲戒事例が10年で3倍~過当競争が原因というのはイイワケに過ぎない~
「税理士懲戒 10年で3倍」
このような記事が日経新聞の社会面記事に挙がっていました。
税理士にも従わなければならないルールがありますが、そのルールを違反した者に対するペナルティが「懲戒処分」というモノ。
その懲戒処分される税理士が年々増えていっているそうです。
いったいどういうことなんでしょう。
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税理士の懲戒処分が増加
新聞の記事の概要は以下の通りです。
脱税を指南したり、無資格者に税理士の名義を貸したりして、懲戒処分を受ける税理士や税理士法人が急増している。
2014年度の懲戒処分は計59件で、3年連続で過去最多を更新。10年前の約3倍の水準となった。
税理士登録者数が増え、顧客獲得競争が激化していることなどが背景にあり、関係者からは一部のモラル低下を指摘する声も上がっている。
(2015年9月22日 日本経済新聞より)
記事によると、税理士の数が増加し続けたことが原因の一部にあると指摘しています。
▼税理士登録者の増加
↓
▼競争の激化・過度の値下げ競争による経営基盤の劣化
↓
▼顧客をつなぎとめるための脱税指南・無資格者への便宜供与
このような流れで違法行為に走る税理士が増えているということが記事の主張です。
「お客との顧問契約を繋ぎとめるため、違法とは分かっていたがお客の要求通りに売上を抜くことに見て見ぬふりをした」
「何もしなくても10万円くれるというので、資格のない業者にハンコを貸した」
「職員に申告書を作成させ目も通さずに署名だけして提出した」
このようなことが懲戒処分の内容として公表されています。
国税庁のホームページにも税理士に対する懲戒処分の基準が公表されています。
[blogcard url=”https://www.nta.go.jp/sonota/zeirishi/zeirishiseido/shobun/”]このような処分案件が年々増加しているそうです。
時代は変わった
こういう処分などのニュースを見ると「同業者として恥ずかしいなぁ」と思う反面、「経営環境的に厳しかったんだろうなぁ」と思う部分もあります。
確かに税理士登録者の数は増えていますし、インターネットなどの発達により低価格の広告戦略をする税理士も増加してきました。
登録したての新人税理士だけでなく、大手の税理士法人ですら「低価格戦略」の商品を打ち出しています。
競争が激化してきて、従来のやり方では安定した利益を確保できなくなってきたことは間違いありません。
私がこの業界に入ったのは約20年前のこと。
ちょうど世間的にインターネットが普及し始めたころくらいです。
その当時は色々な意味で「税理士さんに依頼するとそれなりの報酬がかかる」という暗黙の了解みたいなものがありました。
お客様から値下げを要求されたり、他の税理士と比較されるというようなことも少なかったのかなと思います。
やはり最近は情報社会です。
どこかで「安くやっている税理士がいる」という情報を目にすれば「うちの報酬ももう少し安くなるんじゃないか?」と考える人も増えていきます。
そういう意味で昔ながらのやり方をしている税理士ほど影響を受けるのでしょうね。
今までぬるま湯に浸かりすぎだろ
ただ、競争が激化しているのは税理士業界だけではありません。
飲食店や小売店などの普通のお店はもとより、歯科医や病院、弁護士やデザイナーなどの専門職だって競争は激しいです。
むしろ今まで正しい競争が無かったことが、このような「税理士の違法行為」を生み出しているような気がします。
営業力や提案力、価格値下げなどをしなくてもお客様から選ばれるような努力が足りなかったのではないでしょうか?
税理士の中には価格が高くても顧問を依頼されている事務所も多くあります。
そういう選ばれる事務所というモノはサービスもクオリティも高いものがあります。
また、たとえ大きい事務所ではなくても、お客様が望むモノに対して的確なサービスを提供できればお客様の満足度は得られるわけです。
違法行為をしなければ生き残っていけない税理士であるならば淘汰されるべきです。
違法行為はバンバン取り締まってほしい。
名義貸しなんてする税理士がいるから業界が良くならない。
税理士が申告書を作成できないのであれば辞めてしまえ。
・・・と久しぶりに熱くなってみました(-。-)y-゜゜゜