
相続税の申告書は自力で作成できるか?
平成27年に改正相続税法が施行され、相続税の課税対象者が大きく広がりました。
それに伴って、相続税に対する相談や問い合わせも増えてきました。
ちまたでは新聞やニュースに相続対策の広告があふれ、様々なセミナーや相談会も行われています。
相続なんて一生のうちに何回もあるわけではありません。
しかも様々な手続きなどはどれも面倒くさいものばかりです。
だからと言って全部丸投げしてしまうと、それなりに費用が掛かってしまうもの。
出来るところは自分でやって、何とかお金をかけずに済ませたいと思うのが本音ではないでしょうか。
相続税の申告書作成の相場
そんな大変な相続手続きの一つが「相続税の申告」です。
相続税の申告書の作成は、税の専門家である税理士でも相当大変な手続きです。
①相続人が誰であるかを調べる
②相続する財産を洗い出す。
③それぞれの財産を評価する。
④誰がどの財産を取得するかを決める。
⑤申告書に必要事項を記載して提出、納税する。
大きく分けるとこのような流れになっていくのですが、この作業を相続開始後10か月以内に行わなければなりません。
「所得税の確定申告書ですらどうやって書いたらいいのか分からないのに・・・」
それでも相続税の申告書の作成を税理士に依頼すれば、だいたい相続財産の1%程度の手数料はかかります。
相続財産が1億円であれば100万円、3億円であれば300万円。そのあたりが相場と言われています。
(ちなみに私の場合は0.5%程度で受けています。先輩税理士には「安い!」と怒られちゃいますが・・・(-_-;))
安いトコロでも30万円~というのが相場です。
(実際に行う手続きに比べたら、決して高くはないのですが)それでも出来るだけお金をかけたくないという気持ちは分かります。
そういう方の場合には、相続税の申告を自分で行ってみるのも一つの手かもしれません。
申告書は自力で作成できる?
今日の日本経済新聞に「相続税の申告を自分で行う」というコラムがありました。
最近の税務署は非常に親切なので、一般の納税者の方には申告書の作成などについて丁寧に教えてくれます。
(税理士に対しては冷たいんですけどね・・・)
事前に電話で予約していけば、個別のブースで相談にのってもらえますし申告書作成のアドバイスもしてくれます。
ただ・・・申告書の作成は「あくまで自分で作成する」というのが基本的です。
何も資料もそろっていない状態で相談に行っても
「アレとコレと・・・それからコレも必要です。それからこれも調べないと・・・」
というような形でまともな相談にもなりません。
税務署サイドとしても「あまり相談に来てほしくない」というのが本音でしょう。
多くの納税者が税務署に相談に来たら、正直税務署はパンクしますw
納税者への相談員を充てられるだけの人員の余裕が、いまの国税サイドには無いのです。
所得税の確定申告ですら、税務署が直接納税者に対応する窓口を年々縮小しています。
例年であれば1月中に開設していた所得税の受付・相談窓口は、今年は2月1日からになりました。
来年は2月16日からになる予定です。実質1か月しか窓口を設置しない方針です。
国税庁は、所轄の税務署に対する公式文章の中で「税務署への来庁者数を減らす」と明文化しています。
その背景にあるのは「電子申告を普及させる」ことがメインの目的ですが、それだけ直接相談する窓口が減ってきているというコトです。
税務署が申告書の作成について、手取り足取り教えてくれることはないと思っていただいた方がいいかなと。
やはりある程度自分で知識をつけて調査をし、必要な資料が何か分かる人でないと、相続税の申告書の作成を自力で行うのは難しいです。
相続税の知識のある税理士ですら、申告書の作成を行うには相当の時間がかかります。
それなりの時間と手間と労力がかかることを覚悟して、申告書作成に取り掛かった方がよろしいかと思います。
相続税の申告だけでは終わらない
物理的には相続税の申告書を自力で作成することは不可能ではないと思います。
ただ、相続の問題は申告書の作成だけではありません。
お手伝いをさせて頂いたお客様には「やっぱり専門家に相談しておいて良かった」とお礼を言われます。
逆に「もっと早く相談しておけばよかった」と言われるお客様も多いです。
税理士などに依頼すると費用が高くつくと思われている方も多いかもしれませんが、初回の相談は無料で行っているところも多いです。
相談したから絶対に依頼しなければならないわけではありません。
最終的に自分で申告するにしても、まずは一度相談してみることをお勧めします。